食べ物の境界線

偶に出る長文で語りたくなる衝動。

今回は食べ物の境界線についてです。
 
 
地元のお菓子メーカーのCMにこんなのがあります。<ボンサンクのシャンデレザンって言うんですけどね。

男の子と女の子が階段に腰掛けてお菓子を食べようとしています。
ところが男の子の手元が狂ってお菓子を落としてしまいます。がっくりする男の子。すかさず女の子は自分のお菓子を半分にして二人で半分ずつ仲良く食べます。そしてその半分を食べ終わった時、男の子はまだ足りないのか落ちたお菓子を拾って口許へ…その瞬間、女の子がビシィッと男の子の手を叩き、お菓子はあえなく吹っ飛んでいきます。(´・ω・`)となる男の子。

というCM。おばあちゃんと孫Verもあります(おばあちゃんがお菓子落とす)。
このCMを見て面白いなぁと思う人も多いと思いますが、私は正直「なんだかなぁ」と微妙な気分になったんです。

美味しいお菓子も落ちてしまえば女の子にハタかれるような、極端に言えば「けがらわしいモノ」になった訳です。
この、「美味しそうな食べ物」から、「そうでない何か(直接的に言えばゴミ)」への境界線ってなんだろうと。

もし食べ物に困っているような国の人がこのCMを見たらどうだろう、とかふと考えてしまったり。

でも、実際想像してみたんです。お菓子じゃなくても良いんですけど、例えば、とても美味しそうなサンドイッチがあるとします。ふかふかのパンに美味しそうな具が挟んであってかぶっとかぶりつきたくなるようなそんな感じの。
それがまた白いお皿にキレイに切って乗せられて、清潔なクロスのかかったテーブルに載せられています。美味しそうです。お腹減ってきます。どうぞって言われたら遠慮なく食べますよね。

じゃぁこのお皿が床に直接置いてあったら?

置いてあるのが地面だったら?

更にお皿もなくてサンドイッチ自体が地面に置いてあったら?(落ちているとも言うw)

しかも誰か踏んじゃって足跡がついてたら?

一番下は完璧に「ゴミ」と見なしてしまいます。
地面に直接も微妙。少なくとも食べません。
地面にお皿だと…なんか変な光景ですが食べるのにちょっと躊躇します。

美味しい料理だって食べ残した物とか、こぼれてしまったものはなんとなく嫌悪感を抱いてしまいます。

食べ物は大事にしないといけない。小さい頃親にそう教わりました。
他の命を奪って作られた物もありますし、自然の恵みであったり、いろんな人の苦労で作られたものもあります。そいう価値あるものを自分の糧として吸収するんですから大事な物です。

でもちょっとの状況の違いでこうも意識が変わってしまうのは何故でしょうか?つか私だけなんでしょうか?
大事な物だからこそ、食べ物という枠を外れた時に本能的に拒否してしまうんでしょうか?
その辺の境界線の場所はきっと個人個人の社会経験に基づくものだとは思うんですが、その境界はどこかにあり「魅力的で自分に取り入れたいモノ」から「けがらわしい排除すべきモノ」に反転してしまうんです。

その事に対して「食べ物とは大事なもの」という概念と矛盾が起きてある意味罪悪感があります。後ろめたい気分です。簡単に言えば「もったいない」とかそんな気持ちにも通じるものがあります。

冒頭のCMはそいう気持ちを正面から突きつけられて、そいでなんか微妙な気持ちになったんだと思うんですよね。CMが言いたいのは落ちてるのに食べたくなるようなとても美味しいお菓子だよって事はわかるんですけど。

ちなみにぐぐるさんに聞いてみた所、私と同じような意見をもつ人は見つかりませんでした…。少数派でしょうかねぇ(;´Д`)


+余談+
更にこのCMにはもう1つオフィスバージョンがありまして、それは男前の会社員が廊下を歩いてて秘書っぽい女の人が後をしずしずと付いていってます。そこへ、まぁかなりイケてない感じの別の男性社員が歩いてくるわけですが、何故か彼の周りには沢山の女性社員が取り巻いています。その訳は…そのお菓子をお土産で持っているからでした。そのお菓子に気づいた最初の女性もさっさとお土産社員の方へ乗り換えてしまうという…。
ちなみにそんなに美味しいのかどうかはこのお菓子は食べたことないのでわかりませんw
2006.12.03 Sunday 11:58 | comments (2) | - | りやる
Comments
私の育った環境は決して裕福ではなく、運動会のバナナやスイカがすごい豪勢に思ってたくらいでした。
そんな環境かは判りませんが、ご飯は一粒も残した事はないです。ちなみに地面に固形の食べ物が落ちた際には拾って食べます。
が、私の知り合いは落ちた物は地面でもテーブルでも食べません。なぜかというと実家が焼き肉屋で衛生基準が私より
意識的に厳しいらしいです。小さい頃から店を手伝っていたらしく、お客に出せない物と認識されているようです。
私の場合=もったいない
知人の場合=衛生的でない(商売上)
の図式が成り立っており、やはり育った環境が出る事は
間違いないですね。
なお、私の釣り仲間は地面に落ちようが平気で食べます。
理由はうぃむさんの表記でもあったように、生き物の命を
貰っているので食べない訳にはいかない。とのことです。
釣り自体、もちろん生き物を殺す行為以外のものはなく、
その友人とは釣ったものは食べる!との約束で釣りをして
います。約束というか絶対条件なんですけどね。
で、結論、もったいないから落ちた物はすぐ食べよう。
です。
恐丸 | 2006/12/04 11:32 AM

コメントありがとうっ。他の人の考えや体験を聞かせてもらうのはとても興味深くて、ありがたい事です。

なるほどー飲食業の人が「落ちたけどまぁいいや」ってそのままお客に出すのって想像するとちょっとアレですね…。そう言われると私もレストラン等で出てきた料理に小さい虫や髪の毛が入ってたりするとクレームつけちゃうなぁ…。

1.食べ物は大事なんだから、ちょっとぐらい何か(落ちたり虫ついてたり)あっても食物として扱うべきだ。

2.食べ物は大事なんだから、ちょっと何かあっても(お客さまの)口にいれるべきではない。
ってこれは食べ物が大事というよりも、食べる側の体が大事って事になるでしょうか。

うちの父も釣りが大好きで、よく釣ってきた魚は夕飯のおかずになりました。勝手に命とっといて、食べたから勘弁してね、とは言えるもんじゃないですけどまぁそうやって自然も成り立ってるわけですから、捨てて連鎖を止めるよりも良いことなんですよね。

話は微妙にずれますが、「5秒ルール」は科学的に実証された(?)ようですよ。まぁ3秒だったり8秒だったりまちまちですが。イリノイ大学の研究によると床に固形の食べ物が落ちた場合、ばい菌がつくまで5秒ぐらいかかるのですぐ拾えば…って事らしい。ただし粘着性のある食べ物だったり落ちたのがカーペットだったりするまた違う結果らしい。そいでふーふーするのは意味ないんだって。

お菓子のCMに戻りますが、もし男の子がお菓子を落として「3秒ルール!」とか叫びながら素早く拾って食べちゃう内容だったら…。こっちの方が保護者のみなさんから苦情が出そうな世の中ですよね…。
whim | 2006/12/04 12:43 PM

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