勤労に感謝の日

ちょっと前にDLした、ipad版京極夏彦「死ねばいいのに」を読了。
ママンは京極堂シリーズが好きなので、それ以外の京極小説はあんまりお気に召さなかった模様。

でも読んでみると、独特のリズムや言い回しはやっぱり京極節。

一人の女性の死があって、その女性の事を関係者に聞いて回る若い男性ケンヤ。いわゆる今時の若者で、〜っスよ、とか、そんな言葉遣い。礼儀もなってない。常識もない。彼と話す各章の登場人物はそんな彼を最初は見下すんだけど…。

途中で話のオチは読めてしまうかもしれないけど、それでもなんかこう足元を掬われるというか、自分の立ち位置というか視点というか、そいうのがくるんとひっくり返されたようなそんな気持ちになった。

本でもなんでも、物語を読む時はどうしても誰かしらにある程度の感情移入があると思う。この場合、各章毎の登場人物での語りというスタイルなので最初はケンヤ側ではなかった。けれど読み進める内に常に登場するケンヤ側になっていき、そして最後の最後でまたいきなり突き放された気分。その変な不安な気持ちが余韻として残る作品。

ここまで書いておきながら以下ネタバレ
あ、そうそう、電子書籍のどうでもいい演出に「めくる」っていうのがあるけど、これはスライドだった。
でレビューにも書いていた人がいたけど、ページをスライドさせるスタイルだとページ終わりぐらいまで読み進めた時にじわっとスライドさせると次のページの頭が表示されるので切れ目なく読めてとても快適。
わざわざ本と同じような演出は無意味だよね。
まぁそれを言えば、ページ自体が無意味じゃんって話になっちゃうけどさ。




そいでネタバレ
ケンヤはそんなに不幸なら「死ねばいいのに」って言って回るわけですが、それで「うん死のうかな」って言う人がもしいれば、アサミと同じようにやっぱり殺しちゃうんだろうか。今時の若者ぽい感じなのに実は鋭く相手の本質を見てますよってキャラなのに、「じゃぁ死ぬよ」って人に「じゃぁ殺すね」って首締めちゃうのはどうかと思うけど。最初は冗談のつもりだったのかな。そしてアサミがあまりに自然体でそれを受け入れたので怖くなった、と。だからって殺すかね普通。
そこがケンヤの異常性だったのかなんなのか。
前述の通り、ケンヤに感情移入気味に読んでいたのでそこでいきなり理解不能な行動に出られるとびっくりしちゃって。

そういう読者側の感情移入の事とか、言葉の選び方もそうだし、章の構成もそうだし、よく練られているとは思いました。

描かれている事件自体は別にどうってこともないんだけどね。トリックがあるわけでもないし、奇跡の偶然があった訳でもない。実際起こりえるかって言われるとまぁないだろうというお話。




次は同じ電子書籍版「歌うくじら」を読んでみよー。
常に手が湿ってるので手のひらをパーにしてipadの背中前面を支えて読むとそこまで負担もかからず読めた。机の上にスタンド置いて立てて読む方が読みづらそう。なんか江戸時代の武士が畳に正座して文書読んでる光景を連想してしまう。
2010.11.24 Wednesday 10:02 | comments (4) | - | ネット
Comments
ちあー。
前にその本の話題でてたなーと思いつつコメ忘れてた。
うちは出始めあたりにもちが気になるというので買った記憶があるよー。
出始めってハードカバーなので重いしでかいし、その上高いんだよな…;;
感想聞いたらうぃむちのママンみたいな感じだったかもw

何か、京極堂は関口くんが馬鹿すぎていいらしい。

この前、京極堂の本で同じのが2冊あるよって言われた。
そいえば、ちびが入院してる時に買ったような気が…引越しで荷造りしてたらわけわからなくなるんだよね…。
本には本の良さがあるけど、引越し多いうちとしては電子書籍もいいなって思ったりする。

ところで電子書籍ってDLして自分のipadにデータとして取り込むの?
そいとも、レンタルみたいな感じで期間があるんだろうか?
さと | 2010/11/27 07:26 PM

ちあー
電子書籍はいまいち仕組みがよくわかってないんだけど、リーダーが一つで複数の書籍を管理できるやつと、リーダーと書籍が一体化して1冊になってるやつと、なんか2種類ある気がする。

前者はリーダーを立ち上げると、中に本棚がある感じ。後者は1つで一冊分のアプリになってる感じ。
余計ややこしいな。

買った物については期限なしにいつでも読めるよ。
itunesで映画のレンタルが最近始まってて、そっちは期限あるねー。落としたら1ヶ月以内に見ること、見始めたら48時間以内に見終わる事、がお約束だった気がするよ。

ipadはママンがゲームとかゲームとかゲームしてる。私はふとした調べ物に使ったりして割と便利です。

関口くんみたいな大人は、他人レベルだと面白いけど身内でいたらちょっとね…( ´−`)
whim | 2010/11/28 01:30 AM

なるほどー??

何となく理解した(?
リーダーが書籍と一体化してるのって容量多くなりそうだねー。
リーダーはどこも共通にして書籍管理できたらいいのに。

本は無期限なのがいいね!
でも、映画レンタルのって、一ヶ月以内に見るってのはまだいいとして、48時間以内に見終わる事って付け加えられると一週間くらい猶予欲しいなって思う。
再度見ることなんて殆どないけどさー。

ipadのゲームってそんなにあるんだw
アプリみたいなのだろうか???

実を言うと、私は京極堂の小説は何ページか読んで止まったんだ。
なんていうのかね!
人に先に読まれるとたまにモチべ下がってしまうんだよう。
持続させられなかったみたいだ。
だから、関口くんがどんな人間像なのかよくわからないけど、話から問題をよく持ってくる人という認識しか持ってないw
い、いつか読むよ!たぶん!
さと | 2010/12/01 01:33 AM

こっちのレス見逃してた><
電子書籍のデータは文字データにすれば小さいし、画像データにしてもほとんどが白黒だからどんなに分厚い本でもそこまでかさばらないと思うよー。

映画はipadで見るっていうかappleTV?とかそいうのがあるらしく、それで見るようみたいな。
よくわかんなくてごめんね!w

ipad/iphone向けのゲームはミニゲーム的なものからRPGまで幅広くあります。無料なのも結構たくさんあるし、有料でも普通のゲームソフトのような5,6千円するものは殆どないよ。ただコントローラー的な物が存在しないから、操作性を考えるなら普通のゲーム機の方がやっぱり遊びやすいってのはあるかもねー。アプリみたいに1本ずつDLする感じだよ。

関口君はなんかこう鬱々としててぐだぐだしててのろのろしててすぐ巻き込まれちゃうし自分から巻き込まれに行くようなどうにもならない人だよ!

百器徒然なんたらっていうのが短編集だからそっちから挑戦するといいかもー。
関口君はあんまり出てこないけどw
whim | 2010/12/01 03:08 PM

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